長い時間、質の高い訓練を繰り返し、
高い技能を身につけた音楽家が、
筋肉の不調によって思うような演奏ができなくなり、
活動を離れるしまう。
そんな話は珍しいことではないようだ。
音楽家に多い”フォーカルジストニア”
筋肉に勝手に力が入るなどして、
思うような動きができなくなるのがジストニアだ。
ピアニストやバイオリニストなどの、
楽器演奏における特定の動作のみ、
身体のコントロールが思い通りにならなくなる病気です。
いくつかの原因が考えられていますが、
楽器演奏にみられるような手指の巧緻動作を、
長期間反復することが発症の原因と考えられています。
演奏運動のような特定の動作を過剰に反復すると、
神経伝達機能に負荷がかかることによって
伝達系に問題が生じて発症すると言われています。
音楽家のジストニアの症状は?
手や口をよくつかう音楽家にも、
ジストニアが起こることが昔から知られており、
そのために演奏を断念せざるを得なくなるという話も聞きます。
バイオリンを弾くのに手が痙攣するなど、
わかりやすい症状の人もいれば次の症状の方もいるようです。
たとえばピアニストが感じる症状は
- 「右手小指が上を向いたままになる」
- 「中指が曲がる」
- 「弾くのに手に力が入ってしまう」
金管楽器奏者が感じる症状は
- 「低音が出ない」
- 「口が横にずれる」
- 「吹くのに唇に力が入ってしまう」
木管楽器奏者の症状は
- 「左手中指から小指が屈曲する」
以上のような症状が報告されているが、
自身にしかわからないものが多く、
なかなか周囲に理解してもらえない症状のようです。
「RADWIMPS」山口智史さん
大人気ロックバンド「RADWIMPS」のドラマー、
山口智史さんもジストニアに悩む一人のようだ。
山口さんは右足にジストニアを発症し、
バスドラムのペダルをうまく踏めなくなり、
2015年以降バンドでの活動を休止している。
ドラマーのジストニアは不明な点がより多く、
山口さんの症状は、
バスドラムをたたくタイミングや音量が、
自身の意図と微妙にずれてしまうものだった。
治療しないと進行する
ジストニアが自然治癒したという報告はなく、
治療を行わずにいると進行するとされています。
放置すると他の演奏方法や日常生活にも、
支障が出る場合があると報告があります。
みんながあるものではない
練習して出来ないのか、
ジストニアなのかという線引きは難しいかもしれませんが、
長年、音楽をやっている方で、
急に違和感を覚えるようになったときは、
無理をして練習するのではなく、
ちょっと休むのも頭の片隅に覚えておくといいかもしれません。
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