北海道札幌で 前代未聞の「ビル工事やり直し」 なぜ?そんなことになったのか?

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ゼネコン関係者が一様に、耳を疑う事件が起きた。スーパーゼネコンの大成建設は3月16日、北海道札幌市で建築中の高層複合ビルにおいて、鉄骨の精度不良と発注者への虚偽申告があったことを公表した。発注者であるデベロッパーのNTT都市開発が今年1月に現場を視察した際に、不審な点に気づいた。これを発端に、施工不良と数値の改ざんが発覚。建物の鉄骨部分でおよそ80カ所、コンクリートの床スラブで245カ所の精度不良があった。

※アイキャッチ画像はyahooニュースより引用

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建設中高層ビルの解体・建て直し

地上26階(高さ約116メートル)地下2階のこの高層ビルには

ホテルやオフィス、商業施設が入居予定だった

しかし、発注者が定めた品質基準を満たしていないため

今回、地上部分の鉄骨を解体して建て直す

高層ビルは2024年2月に竣工予定だったが、2026年6月末に延期されるそうだ

現場ではおよそ15階まで鉄骨が組まれており

工事全体の22.8%まで進んでいた

15階まで組み上がっていた鉄骨をぶっ壊して

いちから建て直すことは前代未聞のようだ

ベテラン社員からは

”事件の傷は深い。当社の品質に対する評判も悪くなるだろうし、NTT関連の仕事は当面、ほとんど入ってこなくなるだろう”

 

その言葉のとおり今回の事件発覚を受けて

大成建設の株価は大幅に下落。

17日の終値は4070円と、前日比8.2%減となった

2007年「橋崩落」以来の大事件

2007年9月26日の早朝

日本のODA(=政府開発援助)の一環として

大成建設、鹿島建設、新日鉄エンジニアリングが

ベトナムの南部、メコン川の支流ハウ川に建設中だった「カントー橋」が崩落した

地上25メートルの高さから、容積2000立方メートル

重量3000トンに上るコンクリート塊や鉄筋、建設資材が

橋げたの上で作業中だった技術者・労働者(150人)の頭上に落下して

ベトナム人134人の死傷者(死者54人、負傷者80人)を出す大惨事となった

虚偽報告と精度不良

事件の発端は1月5日

NTT都市開発の担当者が現場を確認した際に

「このボルト、おかしくないか?」と

計画とは違う仕様の施工箇所(仮設ボルトの穴にずれ)があることを見つけた

この指摘を受けて、大成建設は1月10日あたりに

鉄骨の実測値などを書いた報告書を工事監理会社とNTT都市開発に提出した

その後、大成建設が鉄骨の全数調査をしたところ

実数値と資料の計測値の食い違い

つまり報告書の虚偽が明らかになった

梁の水平度合いの計測値を改ざんするなど、実際とは異なる数値を記載していた

 

実際には鉄骨については

地上部では722カ所のうち70カ所、地下部では32カ所のうち7カ所が精度不良だった

契約で定めた柱の傾きの限界許容値を平均4㎜、最大で21㎜超過していた

コンクリートの床スラブも570カ所のうち245カ所で、平均で6㎜、最大で14㎜の違いがあった

ずさんな品質管理だったと言わざるをえない

普通は気づかない「穴のずれ」を見つけた

NTT都市開発の担当者がどのようにして鉄骨の穴のずれに気づいたのか

この担当者は、人間の背よりも高い位置にあるボルトのサイズの違いを見つけた

ゼネコン関係者は

「わずかな穴のずれなんて、とても気づきにくいものだ。デベロッパーの担当者ならば、普通は気づかない」という

不正を見つけたNTT開発の社員はゼネコン出身者ではないか

と言われているが、NTT都市開発の広報担当者は

「着工当時からプロジェクトを担当しており、定期的に現場を見ているため、ボルトが他の階と比べて細くなっている違和感に気づけたのだろう」という

 

ゼネコンはこれまで

品質をチェックするために少しずつ、少しずつ、時間をかけて慎重に工事を進めていた

いまは労働環境の改善を目的に工事現場でも週休2日制を求められ

しかも民間が発注する建築工事の納期はかなり厳しい

全般に余裕がなく、品質管理の部分がどうしても

かつてに比べておろそかになっているという問題が起きているようだ

今回の高層ビルは2026年に完成が伸びてしまうが

完成してから大きな事故など起こる可能性もあったのだから

NTT都市開発の担当者の方は超ファインプレーといえるだろう

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