ハーツクライは、あの世界の名馬ディープインパクトに日本馬で唯一土をつけた馬であり、追い込みから先行策まで自在な競馬をした名馬だった。ダービーの時はきさらぎ賞→若葉S→皐月賞→京都新聞杯という過酷なローテだったのが印象的だった。
JRAは10日、05年有馬記念、06年ドバイシーマクラシックを制し、05年JRA賞最優秀4歳以上牡馬に輝き、種牡馬としても日本競馬に大きな足跡を残したハーツクライ(牡、父サンデーサイレンス)が9日、けい養先の社台スタリオンステーション(北海道安平町)で起立不能となり、死んだと発表した。22歳だった。
社台ファーム・吉田照哉氏のコメント
ハーツクライが昨晩、力尽きました
最期の最期まで気高く、弱みを見せずに旅立ったと
社台スタリオンの担当者から聞きました
育成期は脚を振るような独特な歩様ながらも
調教走路で見せるバネの違いは明らかでした
それまでも多くのサンデーサイレンス産駒を手掛けてきましたが
跳ね方、敏捷性、推進力が桁違いで
かなり自信を持って橋口弘次郎調教師にお渡ししました
競走生活のハイライトは、やはり4歳末から5歳にかけての3戦でしょうか
ディープインパクトを抑えた有馬記念。相手が相手だけに
その後、ハーツクライにダーティーなイメージがつくことを心配したのですが
次戦のドバイシーマクラシックの圧勝で
日本の競馬レベルがとてつもないところに進んでいることを証明してくれて
関係者、ファン、メディアの方を含めて皆さんが喜んでくれた
その姿を目の当たりにして私自身もこれ以上ないくらいに感激しました
普段はあまり声を出さずにレースを見るのですが
周囲は外国人関係者ばかりだったということもあり
最後の直線を迎えたところで、この時ばかりは橋口調教師とともに
”もっと離せ、もっと離せ!”と熱く叫んだことを思い出します
キングジョージ6世&クイーンエリザベスSでも
アスコット競馬場のゴール前で先頭に立ち
世界トップクラスと互角に戦ったシーンは
この業界にいる全ての方々を勇気づけたと思います
種牡馬入りしてからも活躍馬を多数、輩出してくれました
ハーツクライ自身と同様にアウェイに乗り込んでもパフォーマンスが落ちるどころか
むしろ強さを見せつける産駒が多く
海外遠征の高い壁や不安を突破してくれるきっかけとなった馬かもしれません
種牡馬引退後は放牧地で悠々自適に過ごしてくれていました
やっと訪れたこの快適な生活をもっと長く満喫してほしかった
いつまでも生き続けてほしかったのですが
突然の別れとなり残念でなりません
ドバイ国際競走を前に、このような知らせとなり何とも言えない因縁めいたものを感じております
”ハーツクライ”、”心の叫び”という馬名も威圧的な雰囲気と相まって
とてもしっくり来るものでした
勝ったレース、負けたレースも含めていろいろな景色を見せてくれました
感謝しています。どうか安らかに眠ってほしいと思います
携わってくださった全ての関係者の方々
応援していただいたファンの皆さま
配合相手に選んでくださった生産者の皆さま
この場を借りて厚く御礼申し上げます
今まで大変お世話になりました。ありがとうございました
後継種牡馬は何になる?
ハーツクライ産駒の現役種牡馬は
- ウインバリアシオン
- ジャスタウェイ
- シュヴァルグラン
- スワーヴリチャード
- ワンアンドオンリー
- Yoshida
の6頭が種牡馬として活躍している
ハーツクライ系種牡馬で一番賞金を稼いでるのはジャスタウェイで
代表馬は”ヴェロックス”、”ダノンザキッド”、”マスターフェンサー”、”テオレーマ”、”アウィルアウェイ”、”ガストリック”など
JRA重賞通算7勝。うちG1は1勝
マスターフェンサーは種牡馬入り
今週は東スポ杯2歳S(G2)優勝、マイルチャンピオンシップ(G1)2着と活躍しました
今後種牡馬入りしそうなのは
”ドウデュース”、”サリオス”、”タイムフライヤー”、”ダノンベルーガ”
あたりでしょうか?
ドウデュースが種牡馬いりしたら、ハーツクライの立派な後継種牡馬として
跡を継いでいくのではないでしょうか?
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